
腫瘍皮膚科
腫瘍皮膚科
皮膚腫瘍は、一般的に「できもの」と呼ばれ、主にほくろ、イボ、粉瘤などが含まれます。これらの腫瘍は皮膚の表面や内部に発生し、その種類や大きさは多岐にわたります。中には皮膚がんなどの悪性のものも存在するため、医師による正確な診断が重要であり、腫瘍の種類に応じた適切な検査と治療が必要となります。
当院では皮膚がんをはじめとする皮膚腫瘍に対し、早期診断・早期
皮膚腫瘍は、大きく良性腫瘍と悪性腫瘍に分類されます。
ほくろ(母斑細胞母斑)
褐色から黒褐色の色素斑で、平坦なものから隆起したものまでさまざまです。全身のどこにでも発生し、年齢や性別を問わず見られます。
脂漏性角化症(老人性イボ)
加齢や紫外線の影響で生じる褐色から黒色の良性腫瘍で、特に40代以降に多く見られます。顔、頭部、手足など紫外線にさらされやすい部位に発生し、痛みやかゆみはほとんどありません。
粉瘤(表皮性嚢腫、アテローム)
皮膚の下に皮脂や角質が溜まることで形成される良性腫瘍です。独特の臭いを伴うことがあり、化膿することもあるため、早期の切除が推奨されます。
汗管腫
思春期以降の女性の下まぶたに多く見られる1~3mm程度の丘疹で、エクリン汗腺の増殖によって生じます。自然に消えることはなく、美容的観点から除去を希望されることが多いです。
稗粒腫
目元や鼻に生じる1~2mmの白い丘疹で、毛穴に角質が溜まることで発生します。良性腫瘍であり、放置しても問題はありませんが、美容的理由で除去を希望される方もいます。
脂肪腫
40代以上の女性に多く見られる脂肪のかたまりで、良性腫瘍です。痛みや炎症は伴わず、ゆっくりと大きくなる傾向があります。
血管腫
血管細胞の異常により発生する良性腫瘍で、「単純性血管腫」「いちご状血管腫」「老人性血管腫」などの種類があります。痛みはありませんが、部位によっては出血や痛みを生じることがあります。
軟性線維腫(アクロコルドン)
首や脇などの皮膚の柔らかい部位に多発する1~2mm程度のイボで、中年以降に多く見られます。摩擦や紫外線の影響が要因と考えられています。
石灰化上皮腫(毛母腫)
毛穴の一部が石灰化することで生じる良性腫瘍で、顔、首、腕などに好発します。0.5~3cm程度の塊ができ、水疱のように見えることもあります。
Bowen病
皮膚の表皮内に限局した扁平上皮癌の一種で、早期治療が重要です。
日光角化症
長年の紫外線曝露により生じる前がん病変で、放置すると扁平上皮癌に進行する可能性があります。
基底細胞癌
皮膚がんの中で最も一般的なタイプで、紫外線曝露が主な原因とされています。
遠隔転移することは稀ですが、局所的に進行します。
扁平上皮癌
紫外線曝露や免疫抑制が原因となることが多く、皮膚の角質細胞から発生するがんです。
悪性黒色腫(メラノーマ)
メラノサイトから発生する悪性度の高いがんで、早期発見と治療が重要です。
隆起性皮膚線維肉腫
皮膚や皮下組織から発生するまれな悪性腫瘍で、再発しやすい特徴があります。
汗孔癌
汗腺から発生するまれな悪性腫瘍で、早期発見と治療が求められます。
メルケル細胞癌
神経内分泌細胞から発生する稀な皮膚がんで、進行が早いとされています。
乳房外パジェット病
外陰部や脇などデリケートゾーンに発生し、湿疹に似ています。
血管肉腫
頭部に発生しやすい悪性腫瘍で、進行が早いため早期発見と治療が重要です。
皮膚腫瘍の治療方法は、腫瘍の種類や大きさ、患者の希望に応じて選択されます。主に以下の方法が用いられます。
外科的切除
皮膚腫瘍の標準的な治療法であり、腫瘍を完全に取り除くことが目的です。小さな良性腫瘍から悪性腫瘍まで適応されます。悪性腫瘍の場合は、腫瘍周囲の正常皮膚も一定の距離を取って切除し、再発リスクを低減させます。
レーザー治療
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)を用いて、ほくろや脂漏性角化症、稗粒腫などの良性腫瘍を蒸散させる方法です。傷跡が目立ちにくく、比較的短時間で施術が完了するため、美容目的で選択されることが多いです。
液体窒素(凍結療法)
イボ(尋常性疣贅)や脂漏性角化症に対して、マイナス196℃の液体窒素を使って凍結し、組織を壊死させる治療法です。処置後にかさぶたが形成され、数週間で自然に剥がれ落ちます。
電気焼灼(電気メス)
高周波電流を利用して、腫瘍を焼き切る方法です。良性腫瘍の一部に適用され、止血効果もあるため出血が少ないという利点があります。
薬物療法(抗がん剤・免疫療法)
悪性腫瘍の一部では、手術が困難な場合に抗がん剤治療が選択されることがあります。近年では、悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、キイトルーダ)などが注目されています。
放射線治療
手術が困難な場合や、局所再発のリスクが高い場合に適用されることがあります。基底細胞癌や扁平上皮癌などに対して効果が認められています。
皮膚腫瘍の中には、紫外線や加齢、生活習慣などが発症に関与するものがあります。以下のポイントに注意することで、リスクを軽減できます。
①紫外線対策
紫外線は皮膚腫瘍の発生に関与するため、日焼け止め(SPF30以上)を使用し、帽子や長袖を着用するなどの対策が推奨されます。
②定期的なセルフチェック
以下の特徴が見られる場合は、皮膚科での診察を受けることをおすすめします。
・ほくろが急に大きくなった、形がいびつになった
・色の濃淡がある、境界がぼやけている
・かさぶたができても治らず、出血を繰り返す
・かゆみや痛みを伴う腫瘍がある
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